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横浜家庭裁判所 昭和33年(家)2231号 審判

申立人 山田ツネ(仮名)

主文

一、本籍神奈川県○○○郡○町○○○○二八番地筆頭者山田保男の除かれた戸籍(以下甲戸籍と称す)中同人の、及び同所筆頭者山田キミの除かれた戸籍(以下乙戸籍と称す)中養子保男の、並びに本籍神奈川県○○市○○○○二五番地筆頭者森山梅吉の戸籍(以下丙戸籍と称す)中、除かれた次男保男のそれぞれの母欄中に「たか」とあるを「田島ツル」と、同じく続柄欄に「弐男」とあるを「男」といずれも訂正すること。

二、前記丙戸籍中、弐男保男の事項欄における養子縁組事項中に「縁組承諾者森山梅吉並に妻たか」とあるを「縁組承諾者森山梅吉」と訂正すること。

をそれぞれ許可する。

理由

本件関係除・戸籍謄本の記載によれば、上記甲戸籍筆頭者山田保男は、森山梅吉・同たかの次男として記載されているが、事実は森山梅吉と田島ツルとの婚姻外の子であることが当庁の調査の結果並びに森山たかの証言により明らかとなつた。なお、前記事実を覆すに足る反証もなく、また既に山田保男は、昭和二〇年七月一日死亡しているので親子関係不存在確認による戸籍法上の救済手続もない。

しこうして上記のように基本的身分関係の存否についての判決ないし審判が得られないからといつて真実の親子関係にない者をそのまま放置しえないとする本件申立人の戸籍訂正の申請は相当の理由があるものと認められる。従つて、昭和三年一一月一三日森山梅吉・同妻たかの代諾のもとになされた乙戸籍筆頭者山田キミとの養子縁組も当然代諾者から前記たかが除かれることは明らかである。よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 木崎正孝)

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